北京の西郊外の石景山区にある宦官の墓「田義墓」と、その近くのお寺「法海寺」を訪ねた。
北京市内中心から約25キロ、我が家から20キロ。地下鉄6号線で約20分強で、昔首都鉄鋼工場地だった「金安橋」に到着し、そこからバスで2駅。
降り立った団地の先の路地を曲がって入っていくと、突然懐かしい風景が広がっていた。
地べたに5種類位、男女の大きなパンツを広げて重ねて売る色の黒いおばちゃん、市内より種類は少ないけど、安くて新鮮そうな果物を並べる薄暗くて狭い八百屋、中年向けジャージ風の少し埃がかかった行けてない服やレジャーシートで作った巨大な袋を風になびくハンガーにつるして売っている洋服屋さん、粽を積み重ねて売る店。
とにかく、そこに居る人たちの顏付きが違うし(基本的に黒っぽくトロンとしている)、流れる時間がゆっくり。
これって、我々が90年代に北京に来た時に感じた空間と空気だ!と一緒に行った友人と意気投合した。北京市内からたった20分で、タイムトリップしてしまったのだ。
北京だけ見ていると中国が分からなくなる、とよく言われるが、本当にそうだ。あのガツガツした時間の速さも、テラテラした繁栄もなく、30年前と変わらずゆっくり暮らしている人たちがそこには居た。
この辺が中国理解の難しいところだ。層が厚く、多層。色んな人がいろんなことを考えていろんな暮らしをしている。
20年前と変わらずにゆっくり流れるすすけた路地に妙に安堵を覚えるのはなぜだろうか?
これ、本日の北京なり。