本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

灵活就业 3.2亿人

コロナ以降の下り坂局面で、街で急速に黄色い服(フードデリバリー最大手の美団の制服)や青い服(同2番手”ELEMA餓了マ”)の人やDIDI(中国版Uberタクシー)の運転手が増えたのは身近に感じていたが、いよいよ今年は”フレキシブルな就業者”が3億2000万人に達するだろうと予測する統計が数ヶ月前に民間シンクタンクによる『2025年中国ブルーカラーグループ(蓝领群体)就業研究報告』からでた。(2025年は2.8億人、2015年は1.2億人、2020年は1.7億人、2021年は2億人、2023年は2.3億人だった)

 

内訳はこれらのフードデリバリーなどの鉄人レースと呼ばれるプラットフォーム肉体労働系が7000万人でさらにYoutuber系関係者が2500万人と合わせて9500万人。

さらに、個人零細自営業が1億人、零細農務・短期バイト工が8500万人で合わせて3億2000人だ。

 

政府系のデータで2億人を突破したと言ったのが2021年5月のこと。最新のデータでも公式なものは2億人超となっている。主に農村部の非専業農民の零細業者を含めたか否かの違いらしい。

中国の労働者総数は2015年からずっと約7億人超なので、ざっと計算すると3.2億人だと4割の人がフレキシビル就業者。社会保障などを払っている人はこのうち3分の1程度で多くが長期的な社会保障がない状況に置かれている。

 

この統計を紹介している微信記事のコメントには

「だから若い人は結婚なんてしなくなる」

「半分の人が安定した収入がないということだ」、

「“フレキシブル”就業じゃなくて、単なる“バイト”就業だ(不是“灵活”而是“零工”)」

などなど。

日本以上に速い速度でプラットフォーム下の就業が労働市場の巨大な部分を占め始めている。この国ははるかに速い速度で資本主義的合理主義の原則で邁進している。

悩み相談のプロに聞きました

最近、日本でプロで悩み相談を受けている人と知り合った。彼女の相談者へのアドバイスは非常に丁寧で的確な上、骨太で温かい。一つ確か母親とのもつれに悩む相談者に対しての彼女のアドバイスが秀逸で、「人(=母親)の問題としてではなくこれをある現象と捉えたらどうでしょう?」という。なるほど。本当にそうだ。これは逆も同じだ。

私を悩ますある人は二言目には人格批判を口走る。(これはそのある人の親が彼に対してそうしてきたことが多分背景にある。毒と戦っているうちに自分も毒されてしまったらしい)

人格批判をする人に対しては、「人間」じゃなくて、「事」について語れといいたい。具体的な方策に合意できないなら、それだけをテーブルに乗せて話し合うべきなのに、すぐに、そんなやり方をしたがるお前はバカだとか甘えているとか学歴の差だとか人格方面に焦点が完全にずれる。

人格なんてそんなに簡単には変えられないし、そもそもその人の核であるから、そこをいじられたら、傷つき逆上こそすれ、目の前の課題は何も進展しない。相手への不信感が募り、ますます解決から遠のくだけだ。

だから、やはり賢い人はなるべく危うい人に近寄らないこと。どうしても変な人の近くで何かしないといけない場合は、「変な人」と思わず(そう思うと不必要に不愉快になるから)「変な現象」と捉えて、そこからどう抜け出すかを考えたら良いかも知れない。

さすが、プロだ。

これ、本日の北京悩み。

 

高考の志望校選びは超専門的!十数万円のコンサルタントが暗躍する訳

中国の大学受験に幼稚園から命をかけている人がいることはもはやよく知られているが、その結果が試験の2週間後の昨日の午前中に出た。点数をネットてチェックできるのだ。

去年はその時満点の半分も行かない落ちこぼれの明るい女生徒がその結果を見て喜び、親も気にしていない様子の明るい動画を人民日報が流した。「緊張していなくて、余裕があって良いね」と言う声とともに、「こりゃ酷すぎじゃ、テストをバカにしている」と言う声もでて、結局、翌日その動画を止めると言う事件が起きた。それを受けて、今年は750点満点中の650以上の結構優秀(でも700以上の”超優秀”ではない)子どもたちが親と喜ぶ動画が多い。

さて、この点数が出てからが忙しい。日本のように受験生本意で制度ができていず、国・大学が求める人材枠に生徒自らが点数的に自分が受け入れられるかを判断し、自分の行きたい専攻選択と合わせて応募していく、と言うシステムだからだ。

30以上の志望学部を提出して、その中から決まる。決まらない時は第2回戦がまた7月にあるので、そちらに回される。

このルールが複雑で、学校全体の合格ラインがあり、それを満たす点数の子を上の点から学校は埋めていく。その際、自分が全く希望していなかった学部に回される可能性もある。全く引っかからない場合は申請した次のオプションに進むが、下手に引っかかったのに、他学部への調整を拒否した場合はゲームオーバーで2回戦に回される。

だから、この辺の読みが賭けだ。自分が行きたい学部より上の点数の学校や学部と、絶対余裕で入れるのも入れるべきという。そして去年の合格点と合格者の市の順位と自分の今年の順位を照らし合わせて計算するんだそうだ。

だから、特に農村出身で親族から大卒者がいない家族の場合、専攻の違いだけでも珍紛漢紛だ。仕方ないからプロに任せる、と言う流れでこちらではかれこれ7年くらい前から10万円以上する単に志望申請表を作るだけのコンサルタントサービスが隆盛だ。

どこの学部がお得か、就職は良いか?大学名をとるか、都市をとるか?専攻をとるか?大抵はこれは親がやるのだから、子供の主体性は限られ、親はクタクタになる。

昨日発表され、7月1日までに申請書を提出し、7月の後半に1回戦の結果がでる。それで決まらない人は2回戦に参加する。

トップ校は1点でも高い学生をとるために地方に先生や職員を送り込んで熾烈なスカウト活動をしているという(知人もそれで出張している)。この辺もよくわからない壮絶なる点数と競争の世界だ。大学にとっては入ってきた学生の点数はそのまま彼らのKPIになるんだそうだ。

これ、高考結果発表後の北京なり

北京市、2026年高校統一テストの国語作文:登山は幸せだ について論ぜよ

昨日は北京市統一の高校入試だった。そこで国語の作文のテーマの一つがこれで、おどろいた。

「あなたは必ず登山の経験があるでしょう。登山は大変なことも多いでしょうが、途中でいつもと違う風景に出会ったり、同行者の温かさに触れたり、何かを突破する喜びを見つけたり、認識における成長を得ることもあるでしょう。”登山は幸福だ”と言う題で、内容は積極的でポジティブ、字数は600−800字で作文を作りなさい。実際の学校、先生名などに触れてはいけません」

 

というもの。いやはや。幸福という極めて個人的な感情を「幸福です」という前提で論ぜよというのはいかにも無理があり過ぎる。もはやここまで来たか、と言う感じだ。

「積極的でポジティブ」だから、嘆いたり、不平を言ったり、批判は減点対象だ。これ、北京の15歳への作文テーマなり

ニュースにもならないバラバラ殺人のニュース

昨日はストーリー・故事FMという自分の体験談を語る(Wechat内で聴ける)ポッドキャスト番組を聞いた。これは肉声で当事者がリアルを語っているので、毎回かなり面白い。

ただ、昨日の(初回放送日は26年4月9日)は最初に「今回は残虐なシーンが登場しますから、子どもが周りにいる人はイヤホンで聞いてください」という注意が出る内容だった。

声を加工して、淡々と話しているのは上海人女性。鬱病持ちで大卒後働きながら、数年付き合っている彼にある日、連絡がつかず、家に行ってみたら、彼の家は警察が封鎖していて、殺人犯で捕まっていたという話。彼女は19年に上海のスポーツクラブのコーチだった彼と知り合う。彼は4、5線都市出身の高卒で上海で働いていて、実は田舎で結婚・離婚して4歳の子どももいるのを当初は隠して彼女と付き合い始めたという。

その殺人事件はこうして起きた。この彼は街に来てお金に困っていた若い女子を家に泊めてあげると誘い、夜に寝静まってから女子を襲い、拒否されて、殺してしまったらしい。そしてこの事件が恐ろしいのは解体して破棄したというところだ。もう気持ちが悪いので、そこで聴くのをやめてしまったがなんという残虐さよ。

話し手の彼女は彼が過去に、ゴミを散らかす野良猫を殺し、飼っていたワニ?を食べことがあり、エロビデオや売春も手を染めていたと回顧している。

そして何より驚くのはこういう事件が全国のトップニュースにならないどころか、たまたま、このPODCASTの人が拾わなければ表に出てこない。地方ニュースにさえならない「くだらない話」で終わるという「相場感」だ。

壊れた人はどこにも、いつの世にもいるが、どうしてこういう人になってしまうのか?

心が痛いし、恐ろしく、また、びっくりさせられる話だった。

海淀の名門高校の卒業式

昨日は卒業式に行ってきた。普段は中に入れない北京屈指の有名校なのだが、縁あって昨日は入れたが、施設がものすごく立派で驚いた。学費が数百万かかる私立のインターより立派なくらいだった。そこは公立校だから学費はタダだ。

そして、式も金をかけている。イベント屋にアウトソーシングしてあちこちに写真を撮りたくなる背景ボードや名前を書き込むボードやプロのカメラマンチームやら、結婚式の引き出物のようなおしゃれでちょっと工夫もしたプレゼントの用意から会場の音響までプロっぽく、金がかかっている。

そして一番驚いたのは、学校の路地でタクシーを降りたら、その隣の車から降りてきた女王様のような女子のこれ以上派手にできないというコスチュームだ。まさに舞踏会のティアラをしたお姫様状態で、肩を丸出しにしてフッワフワのスカートを引きずりながら歩いている。一体何が起きているのか?

こちらの高校生は全国どこでも3年間ジャージで過ごすのだが、いきなりの豹変?男子生徒はシャツとズボンで、暑いのにちゃんとスーツジャケットを着て決めている子もいた。こちらは初めてのスーツ姿が眩しくてこの程は微笑ましい。

ただ、多くの女子たちはシンデレラの意地悪な姉様一家大集合のようでどこか地に足がついていないチグハグ感と、えも言われぬ圧力が。綺麗にしたい年頃だからフリフリのスカートを着たくなる気持ちはわかる。それを素直に表現しただけと好意的に理解すればできるのだが、何か後味の悪さが残るのはなぜだろうか?アメリカの高卒ボールルームの衣装みたいだ。まあ、そういう年頃としておこう。

一方で好感を持てたのが、こんな格好の人がいるかと思えば、いつも通りのジャージの子もいるという多様性だ。保護者でもジーンズにTシャツの人も居たし、生徒たちは自分の好きなちょっと特別な服を着ている子もいていろいろだった。こういう時に日本の様に全員右へ倣えでほぼ同じにならないのはゆるくて良い。

祝辞とかは特によくも悪くも赤すぎもせず、まあまあだった。理想は高くもって独立して考える力をもってはばたけ、というのは良い。

出し物も生徒が作ったビデオクリップや作詞作曲した曲を7、8人が楽な感じで歌ったりその辺の完璧でないゆるい感じが逆に良い。

もう一校、地元の三流公立校の卒業式の写真をみたが、こちらは明らかに手作りで地味だった。これが、いわゆる階層というものなのだろうか。学歴はそのまま階層になると北京大学の先生が言っていたっけ。本来めでたいはずなのいろいろ考えさせられる独特の卒業式だった。

まあ、学校は学校。若者たちよ、ガンバって羽ばたくんじゃぞ〜

いじめっ子は同級生ではなくて先生

昨日は北京のど真ん中で育った70後の友人から小学校時代に担任の先生に3年間無視され続けるといういまでいう「冷たい暴力」の話を聞いた。

*中国の小学校のシステムでは6年間クラスも担任も基本変わらない。(途中で学校や先生の都合で先生が変わることは結構あるけど)

 

4年生の時、彼女は成績がイマイチでそのことを先生が親を呼び出して言ったらしいのだが、普通の親と違って彼女の親はセーフのちょっとした力のある地位にあったこともあり強気で先生に「勉強をみるのはあなたの役目だ」と言い放ったらしい。普通の親は先生のご機嫌を取るのに忙しいから、先生はトサカに来たのはいうまでもない。次の日から卒業までの3年間、先生は彼女のことを空気のようにあつかっという。手を挙げても絶対にささない上、目さえ合わさなかったという。彼女は相当凹んだが、親にいうのも怖くて言えなかったという。だから親も彼女のこの闇の3年間については知らないまま(優等生だった兄貴しか親も関心がなかったと彼女はいう)。救いは彼女は明るい子だったので同級生はみんな良くしてくれたことらしい。彼女の心の深い傷は今でも残っている。この先生も恨んでいるしこの話も滅多にしないという。それにしてもいまだったら、登校拒否や鬱になっていたかもしれない、よく頑張ったよなあ。

 

クラスの担任が自分の力を示すために生徒に対して、意地悪する現場は私もみてきた。結局のところ本質はせーじ。ゼロサムゲームで先生が叩かなければ、生徒にさされるかもしれない、舐められたら誰もいうことをきかなくなって、親からも何をされるかわからないという構図だから、お互いに悪循環。だから先生は絶対的なけんりょくを示すために、少しでもいうことを聞かないとか成績が悪い子をいじめる。あるのは人を育てる教育ではなくてコントロールするセージだ。

彼女がどんなに辛かっただろうかと思う一方、そんな酷いことに耐えてこんなに立派に明るく素晴らしく生きていることに胸を撃たれる。

また出会った残念な愛のない先生とそれにもめげずにたくましく生きるここの人の話。