本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

腐乳餅(フールービン)の衝撃

私は旨いものが大好きだ。もう20年も住んでいるから大体有名どころは食べてみたと思っていたが、それは大きな間違いだった。この広東潮州の伝統的焼き菓子「腐乳餅」にはドーンと衝撃を受けた。

 

見た目は小さめの月餅。触ると油っぽくかなり硬い皮でカリッとしている。この皮に旨味成分の塊の豆乳のチーズのような「腐乳・フールー」が入っている。中は何と豚肉とナッツ類と大蒜という複雑なものがねちっとギュッと入っている。

 

中の餡は甘辛く、広東風の甘口チャーシューに近い。甘くしょっぱいが、それが、ちょうど良い所で止まっている。甘すぎない。オイリーといえば確かに体に悪そうにオイリーだ。でも、コレステロール値なんかケチなことを言っている人間を吹き飛ばす迫力がある。素敵に複雑でおいしいのだ。

 

こってりのフランスのモンブランのような、濃厚なマロンクリームとチョコレートと何かを足したような、そんなヘビーなスイーツの快楽に近い。イヤハヤ、見た目はその辺にありそうなラフな感じだが、食べた時に口で広がる幅広な快楽度がものすごい。

 

これに友人が送ってくれた同じく潮州の高級茶の鴨屎香を合わせて頂くと、これぞ至福の時だ。

 

広東人・潮州人の味の追求は貪欲さむき出しの迫力だ。久々に中国の食べ物で衝撃を受けた。

まるで別世界。

 

これ、マイナス9度でふきっ晒しの北京で頂いた南方の気力満点で芳醇なお菓子なり。