本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

教育局の記者会見「宿題を親に転嫁したり、親に宿題の添削強制を禁止、見つけたら厳罰に処す」

今日の題は昨年12月10日の中国教育省の兪偉躍・基礎教育部部長による記者会見での発言。親の宿題添削を厳禁ってどゆこと?子どもが自分の宿題を完結している日本人には訳が分からないだろう。

 

こうゆうことである。中国の義務教育は塾の如く猛烈に詰め込む。良く言えば先生は「結果」を出すために真剣で、子どもにかなり加圧する。親も厳しい先生の元でガンガン点を取れる子供にしてほしいと願っている。

 

加圧された子どもは膨大な量のテスト演習をする。自分の子供の成績が伸びることを強く望んでいる親がプレチェックして子供の学習に二人三脚で貢献せよ、ということで、これが当たり前のようにず~~~と励行されてきた。

 

我が家の子供たちも3年位前までは親が宿題のプレチェックをさせられた。彼らの宿題に漏れや間違いがあると親は先生に「もっと真面目にやらせてください」と怒られる。親は「すみません」と先生に謝り、子供には怒る。

 

我が家のアパートの中古品交換グルチャに出てきた話では、中1だった時の英語の先生は毎日英作文の宿題を出し、文法やスペルを親にプレチェックさせた。子供が間違ったまま出すと親へ「ちゃんと監督して下さい」と御叱りが来る。しかし、この親は「おかげで娘は英作文はOKになった」と親を巻き込んだ特訓を高く評価している。先生も親もそれが当たり前だった。

 

それが、ここにきて「これっておかしくないか?」と問う新しいタイプの親がでてきて、問題化している。

 

政府は「親に添削の義務を転嫁することを禁じる」と先生に言い渡したのだ。中国では新鮮なので、この1年半位、庶民のホットな話題になっている。

 

そもそも、この政府方針の転換はなぜ今、起きたのだろうか?親の教育観の変化か?以前の孟母一色でなく、リラックスして達観した親が出てきて主張し始めたのだろうか?であれば一種の進歩だ。

 

もう一つの可能性は、疲弊する親子を政府も心配し始めたということだ。親は不満が爆発寸前まで溜まり、子どもは自殺や鬱に陥るケースが増えている。原因は毎日の宿題や勉強での衝突だ。

子供の宿題のことで子供を叱り、罵倒し、叫んでいる中国の保護者はあまりに多い。近所隣から親の怒鳴り声が聞こえてくると皆言う。

 

日本や西欧では子供が自分の宿題をやって大人は関わらないのは当たり前だが、中国では「革命的」だ。変化は歓迎したい。

 

これ、本日の北京なり。