本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

教育「それは別問題、仕方ない、もちろん逆行だけどね」

今日は、中国では開明派の子供の能力や自発性の重要性を成績やテストの点より重要視する中国の教育家に話を聞いた。先日も書いた通り、中国の教育方針が点数中心から子供中心に変化していることに驚いたからだ。

 

新しい方針の中では、今までの「大量の問題演習」やそれらによる学生への負担過多、点数至上や進学率至上主義(の間違い)を「断じて是正する」という。オープン形式の問題を強化し、丸暗記による(人間の)演習機械化現象を減らす、点数オンリーの入試ではなく、人間の総合的資質を参考にするシステムを構築する、という。

 

これはとても良い事だ。

 

この専門家もこれらを高く評価。「実は教育行政はこの数年ですごく進んだ。自分の子供が通っていた東城区の公立校の学習方法にも満足している」という。意外にもそんなに悪くない、というのだ。確かに、最近はオープンで良識的な方向に改革が進んでいるのを私も感じる。

 

しかし、この政策からはもう一つの柱が見える。「徳を身につけ、人を育てる」。これ自体は色はなく透明で問題ないのだが、よく読んでいると、徳とは即ち「XXの言うことを聴く」とか、「しそうせーじ活動を学校の生命線としてしっかり管理する」などを意味しているのが分かる。

 

こういう中国独得のせーじ表現は別にこの政策に限ったことではなく、中国中どこでもある。それでも、私に言わせれば、今までの単なる枕詞の色とはちがう、超本気の真っ赤っかだ。

 

しかし、専門家は落ち着き払ってこういう。「ああ、それは別問題だよ。仕方ない。まあ、もちろん最近は逆行しているけどね。」という。大体、自分は政府の政策には興味はない、自分の子供がしっかり育てば良いのだ、と。

 

まあ、彼がいわんとすることも分かる。このクールな態度があるから、上の政策の文字面だけ読んでいると頭が狂いそうになるのに、そこらへんで実際に生きている中国の人たちは至って正常なのかもしれない。

 

とはいえ、この派手になる色合いに彼らが驚かないことに、私は驚いてしまう。

 

この辺の塩梅もなかなか外部の人間には分からない中国独得の温度感だ。

 

これ、本日の北京なり。