本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

鶏の血も輸血しちゃう?子どもの教育に焦る親たち

この数年のネット用語で、子供に過度の期待をして過度の教育を押し付ける親の行為を「鶏の血を子供に輸血する」=「鸡娃 ジーワー」という。つまり教育ママやその行為のことだ。

 

以前からいる教育ママに新しい名称が付けられたのは理由がある。一つは、益々英才教育ブームが大都市の中流の間で盛り上がっているからだろう。

 

その一方で、10年前に言われた教育ママのタイガーマザー(中国語で「虎妈」)と違うのは、その行為への批判的眼差しだ。「一流になって欲しい」と過度の期待を寄せる点は同じだ。だが、鶏娃は崖から子供を落として育てる虎のように「厳しい」親ではない。明らかに非科学的なのに鶏の血を子供に輸血してしまう、愚かな親というニュアンスがある。

 

昨日の教育専門家はそうやって焦る親こそ(学校の教育よりも)中国の教育のガンだという。教育には知識を教え、人を育てる両面がある。学校が負うのは知識の方で、人として育てるのは親の役目だという。しかも6歳前までが肝心で、学力の軸になるのは読書力と指摘する。

 

一番大切なのは自分で主体的に考え行動(勉強)する「能力」を付けること。だから、①独立性、②子供を尊重することで、自主的に処理する能力(「自駆力」)を養い、③守られているという安心感を持たせてあげる事が肝心という。彼のキーワードは自我に根差すエンジン力(「自駆力」)だ。外部の親が強引に子供に押し付けたり、引っ張ったりする「鶏娃」とは対極をなす。

 

これは、すごく説得力がある。子供の教育というと、親は目に見える結果・知識量に目がくらみやすい。その結果、私の周囲の親も周囲の子供に負けじと3歳からプログラミング、英語など山ほどのお稽古事をやらせて、小学校卒業時には英単語2000語位は覚えさせ、ケンブリッジ英検などを取らせて安心している。でも、もっと大切なのは学習する能力ややる気を持った人格をその子自体に育てること。

 

大事なのは器を形成することであって、中身(知識)はいつでも後から自分で満たせばよいのだ。

 

10月の中国の有名雑誌『生活週刊』の特集も「鶏娃と自駆力:焦慮しない方法」だ。ここでは、伝統的な究極の詰め込みママの現状と、新しい子供の主体性を重視して育てる親のケースが対比して紹介されている。

 

皆、今の悪循環からの解放を求めている。 

これ、本日の北京なり。