本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

鉢巻きをして病院に行ったの巻き:急速なデジタル化!

先週、あこそだけは行きたくないと家にあった薬で我慢していたが、やはり行ってきた。高くても遠くても(風邪で3万円位ザラ)外資系の病院へ行くことも考えたが複雑な病気じゃないし、少し体力も回復して来たから(元気でないととても一人では行けないのが病院だ)近場の地元の3甲(規模水準ともにトップ)レベルの病院に行ってきた。

1)スマホで前日に予約:前よりずっと楽にできるようになった!

前日にスマホで自分の微信と紐付けし、パスポート番号などあらゆる個人情報をインプットして自分の臨時受診カードを発行。(スクショしておき受診カードとして使う)

次にスマホで予約。予め50元(約千円)のヒラレベルの医師の診察料を微信payで支払う。(専門家という上のレベルになると100元、300元とガンと上がる。でも、予約はかなりしやすくなった。昔は全然予約取れなかったが、改善されている。)

2)診察券発行 

当日は病院建物の外に置かれた入り口の機械でQRコードをかざして診察票をゲット。私は「診察券発行」ではなく間違って「予約」を押してしまったので混乱。私と同じく機械の使い方が上手くいかない人たちが群がる中に入っていき、係の兄さんに声を大きくして頑張って聞いたらイライラしながら「だから予約じゃなくて票受け取りを押すんだよ!」と叫ばれ、再びトライするとレシートが出てくる。第一難関突破。 因みに英語とか多言語はもちろんない。ネイティブレベルの中国語と凹まずに前進する強い意志がなくては病院の診察室へも辿り着けない。

3)診察室にたどり着く

診察券を持って、2階の心臓科・腎臓科総合受付に到着。そこで再び受付があり、スキャンしてもらうのだが、そこに34本の手が同時に伸びる🫱🏼 私も負けじと一緒に伸ばす。ピッと鳴ったので入力されたようだがその後、私がどうすればいいかかは誰も教えてくれない。心臓科と他の課の電光掲示板しかない。腎臓科はどこだ?ウロウロしてまたさっきの所に戻ると、他の人が「ああ、腎臓科はこの廊下の先を曲がった所で待つんですね」と確認している会話をキャッチしたので、そうかと着いていく。この場のルールを悟る鋭い観察力も必要だ。

科に到着したら、スキャンしてもらうと、個別の医師の診察室の電光掲示板に呼び出しが出るシステム。ズル込みできなくなってとても良いシステムなのだが。。。

受付に伸びる3本の手。デジタル化されても残る「厳しさ」。

 

4)いよいよ診察+支払い+検査+薬

肝臓科の診察室が並んでいる廊下に到着。診察室前の電光掲示板には私の名前が出ている。どうやら遅くきたので、飛ばされたらしい。受診中なので、ドアの外で待つ。ドアにはいみじくも「1医師1患者、プライバシーを守れ」とデカデカと書かれている。これまでの常識が「1医師多患者」だったからだ。ようやく、診察中の人が出てくる、ドアの前で戦闘体勢でピタリと待機している私を後ろからすり抜けて診察室に入ろうとする男性がいる。「美人さん、すぐ終わる質問だから良いかな?」と丁寧に聞くもんだから、思わず「哪…好吧」(いいよ)と彼を許してしまった。ら、なんとその人と全く同じ双子のクローン男性もチョロチョロと一緒に入り、先生の前の椅子に座っているではないか?で、その人が終わったら、次はクローンが先生にいろいろ聞いている。話が違う!2人も!と思うが我慢して黙って待つ。クローンも出ていったら、次は若い女性が入ろうとする。今度は毅然とNO。それでも女性も諦めない。先生に、「私、もう番が来ていて待っているんです〜」とすがり先生がその女子に「ちょっと待っていてください」と諭し、ようやく私が先生の前の椅子に着く。もう、ここまでくるのが大変なんだよ!忍耐力はもとより、気迫と運動神経が試される。

患者のプライバシーを守ろう!1患者に1医師ネ!

先生はどうしましたか?ときき、ああそう、それじゃ、検査は自分でして来て、結果を持ってまた来いという。その結論に達するまでの質疑応答約3分。中国の診察はどこもめちゃ速い。もう11時近くで、検査結果が出るのは昼。「私(医師)は午後はいないから、別の先生の診察券をもう一度取得してきて」という。先生の見立てはもう出ていて、抗生物質を処方してくれているし、私が午後また1から出直しは面倒だなと思っていると、先生曰く、「じゃあ、ネットで連絡してくれたら、検査結果を見てあげる」といって「好大夫」のQRコードを検査指示書と処方箋とともに渡してくれた。

 

診察室を出て、また、機械に行って検査代と薬代90元を支払う。こちらは全ては前払いだ。そのレシートを持って次は検査に行く。一瞬迷うが、屋外の簡易専用トイレを発見。(使用済み検査キットが散乱していて汚かった。病院のトイレが汚いのは本当にげっそりする)キットは自分で取って済ませ、隣の窓にレシートとQRコードを提出。また、本館に戻り薬をゲットして終了。家に帰り、すぐに薬を飲んだら、症状はみるみる良くなった。もっと早く行けば良かった。

コロナの影響?血液と尿検査は屋外にて〜

モールはきれいになったが、病院にはまだ残る残念なトイレ


5)スマホで検査結果をチェックと先生の診断

薬も効いてきたし、もう大丈夫だが、一応、検査もしたから念のため、結果を確認。検査実施から約1時間後にスマホで確認できた。

ただ、その検査結果の医師の説明は、午後にもう一度病院に行って1から別の医師に診てもらうのが嫌なら、プライベートの有料サービスを利用する。朝の先生がくれたQRコードから医師への相談専用のプラットフォーム「好大夫」にいく。「好大夫」は前からある私企業のデジタル往診プラットフォーム。これが公共の病院サービスの延長部分を担っている。最初の三回まではお試しで無料で先生にチャットメッセージで相談できる。自分の個人情報を全て入れて、検査結果をアップロードする。先生にこれを診てもらえますか?と質問すると、助手のような人がもうすぐ先生が来ますと微信上に送ってくる。一回目の質問の機会は私は他のことをしていて先生のご登場に気づかず、無駄に消費してしまった。まだ二回チャンスがある。先生は「やっぱり感染ですね、薬を飲んでどうでしたか?」と聞いてくる。「お陰様で薬は効いています。検査結果は、他の問題はないという理解でいいでしょうか?」と聞いたら「そうです。症状がなくなれば、薬をやめて良いです」という。これでめでたし終了だ。

 

この先生とのデジタル診療サービスは今回は初回お試しでタダだったが、正規には1ケ月パッケージだと450元=約9000円(先生から毎月1〜3の質問、患者から毎回3つ質問できる診断機会5回。他の医師につなぐ必要のある場合はその手続き)を購入する。この他、一回聞くだけなら49元(約1000円)なども用意されている。金があって時間がなけば、これをつかえ、ということらしい。「好大夫」が以前提供していた公立病院の先生の診察券を窓口の数倍の値段で個別に売るという商売はなくなり、予約は全て病院の公式ネットに一括された。(日本から見れば極めて当たり前だが、昔は何でもありだったので大きな進歩だ。)

 

去年の2、3、4月と家族がこの病院に世話になったが、その時はまだここまで完成していなかったデジタル化がグッと進んでいて驚いた。X線、血液や尿などの検査結果は1時間後にスマホでで確認できる。金さえ払えば、病院に行かずともその結果についてその病院の特定の先生の判断を得られるようになった。

 

まだまだ、鉢巻をして臨まないと医師の前にたどり着かない、診察室にみんなが押し入るとか、一人の先生が患者に責任を持たないとか(毎回いくごとに別の先生が出てくる)システムやガバナンスの問題はあるが、それでも以前と比べるとデジタル化はすごい。ぐちゃぐちゃだった病院ルールがかなり透明化されスピードも上がった。医師の予約もスッキリ一本化されて取りやすくなった。

 

急速に変化もしている。中国の知人が言っていたことを思い出した。「中国の病院みたいにぐちゃぐちゃなところは一番デジタル化で民主化されるんです。」一理ある。

これ、本日の北京なり。