本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

教育改革で高まるか?義務教育の質

正式には「中共中央国務院 教育教学改革の深化と全面的に義務教育の質を高める事に関する意見」で19年6月に実施された26パラグラフから成る政策文章だ。

 

日本人の私にとって衝撃的なのは激しさを増す色(くにととうと一体化する仁徳教育)だがここでは割愛。昨日のブログに書いた通りで地元の人は慣れか麻痺か諦めか?とにかく、気にしていない。(1,2,3部分)。

 

もう一つの柱はこれまでの詰め込み教育への決別だ。

▼「学生の主体的地位を突出させ、学生の好奇心、想像力、知識欲、学習への興味を保護し、学習能力を高める」(4部分)

▼教授法の進化(8パラ):啓蒙式、参加式、探求式の教授法を重視する

▼学生にはゼロから教える。先取りなど教育課程を超える学習、違法な統一テスト、テストのランキング順位の公表などを厳禁する(9パラ)

▼宿題の質を高め、学生個人に合わせた宿題を出す。親による宿題答え合わせや罰としての重い宿題を禁じる。(10パラ)

▼民間学校の入試も統一管理に置く

▼進学率によって教師を評価することを禁じる(22パラ)

▼家庭教育を重視する。親は子供との交流を強化し、子供の良い思想や品行、習慣を育成し子供の成長目標の確立を助け、盲目的な他人との比較を克服し、子供の課外塾の負担増加を防止する。(25パラ)

 

そうなのだ。もっと近代的で創造的でより良い教育を目指そう、点数至上主義や順位漬けの学園生活は止めよう、とこの政策は言っている。

 

さらに、もう一つ2020年の10月に出たばかりの政策「新時代の教育評価改革の深化に関する総体法案」もある。

 

こちらでは「点数のみ、進学率のみ、学位のみ、論文のみ、帽子のみのしつこい悪習慣の過ちを毅然として克服する。...教育の現代化を加速させ、教育強国を建設し、人民が満足する教育を提供する。」とある。

 

▼進学実績だけを追い求める過ちを断固として是正する(3パラ)

▼学生の平等な権利を保障し、先生の専門化をはかり、教育水準を上げ、学業負担、社会満足度など(を考慮する)。選択科目を徐々に導入する。(6パラ)

▼先生の評価は教育責務の履行を基準とする。一人一人の学生を思いやり、全ての授業を大切にする。

▼体育、美術、音楽、書道、労働教育を強化する

▼高校・大学入試改革を着実に推進する。徳智体美労の全面的テスト体系を構築し、標準的な回答を求める問題から、オープンエンドの問いを強化し、丸暗記や「機械的問題演習」現象を減らす。

 

などだ。これらを聞いても日本の読者は当たり前と思うだろう。しかし、中国ではかなり革命的なのだ。

 

なぜなら、中国の現状はここに書いてあることの180度反対だった。

長いこと、丸暗記、大量の暗記や問題演習を小学校の頃から強制してきた。担任の先生は学生の平均点で、校長は学校の進学率で評価されたからだ。点数の悪い子は平均点を下げるだけなので転校させることも。

 

つまり、中国の教育は「テストの点」とその結果の「進学実績」オンリーでまるで塾。その「結果」を出すために、日夜、大量の暗記と問題演習をこなし、トップに成ることを夢見て我慢に我慢を重ねて今日まできたのだ。

 

それを、点数至上主義は悪!もっと好奇心や想像力を大切にして、負担も減らして近代的に学ぼう、全人格も大切よね、と来たわけだ。

 

実際に、我が子の通う公立中学校の雰囲気はかなり学生の個性や主体性を重視する方向に変わっている。色は勘弁してもらいたいが、教育の近代化は大歓迎だ。中国も変わりつつある。

 

これ、本日のお上の政策なり。