本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

青空床屋の叔父さんに挨拶してみた

ワシントンDCの暮らしで印象深かったのは、エレベーターやバス停で待っている間に、後から来た人が挨拶をする習慣だ。「Hi!ハイ」ととにかく一言いう。すると、一瞬張りつめた空気がポワワ~ンと溶けだす。これは素晴らしい人間の知恵だと思う。

 

それが、北京に来たら挨拶はめったにしないし、人と目が合ってにっこりすることも(欧米人はする)、会釈することもない(日本人はする)。

 

そう言えば、DCのルームメイトは仲の良い中国人カップルだったけど、旦那は食卓でご飯を食べ終わったとたんに、スクッと立ち上がって、バックを持ちバタンとドアを閉めて家を去っていったものだった。その間、二人の間には一言もことばが行き交わない。

 

それを横でじろじろみていた私は、心の中で「君たち、挨拶は?!」と叫んだものだった。

 

最近、私は挨拶しない北京で、挨拶をすることにした。最初は向こうもドギマギした様子だが、慣れてくるとニコニコして挨拶を返してくれる。中国の人だって、ゆったりと温かい空気が好きだ。

 

橋の下の床屋の叔父さんの横を通りかかる時は、ヘッドフォンを外して、挨拶する。叔父さんも生き生きと手をかざして返事してくれる。お馴染みのカフェの古い店員にも店を去る時は挨拶する。彼らも急に自分を取り戻すように良い笑顔を返してくれる。

挨拶って素晴らしい。

 

そうそう、中国には大事なお客さんを送る時に言う「慢走(ゆっくり行って)」つまり、「気を付けて帰ってね」と言う綺麗な言葉もある。

さて、今日は誰に挨拶をしようか?

これ、本日の北京なり。