本日の北京(2020年ブログ版)

軽く、リアルに北京を語るライターブログ

ITで今をゆく30代インテリは今...

久しぶりにアラフォーでITコンテンツ業界で働く友人に会った。相変わらず綺麗で、落ち着いている。

 

前回は40、50代の友人たちとの会食だったが、今日は中国で一番輝いている30代。彼女の上司は30代前半で年下という。「ITはIT以前の経験が逆に足かせになるから、若い方が優位」だそうだ。前回の一群と違い、今のお上には全く違和感も不満も感じていない。トランプを見て、「昔は民主が良いと思ったけど、今はそう思わない。中国の方がコロナ処理はうまくいったしね」とあっさりいう。

 

彼女はインテリで英語の原書もアメリカドラマもバリバリ吸収する国際的知的派だ。「ホモサピエンスでも、結局、国家とか組織とかそういうものは虚構といっていたよね」という。おっしゃる通り。そういうしがらみから自由になろうと、最近彼女はスピリチュアル系の本を色々読んでいるらしい。

 

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この本、中国でも売れているらしい。この5~10年、仏教は一部の一定程度に成功した層でブームになっている。

アメリカでも2017年にロバート ライト・進化心理学学者が書いた「仏教はなぜ正しいか?」と言う本がベストセラーになって、それが中国語でも売れている。確かにこの5~10年位、中国の若い成功層で仏教がブームになっている。

 

この本の「まとめ」を、中国最大手のオーディブルアプリ「得到」で聞いてみた。それによると、生物としての遺伝子の伝達本能のために人間の心理には3つのプログラミングがされている。

1つ目はご飯や恋愛などで快楽を感じる。

2つ目は快楽は人間にそうさせるための餌に過ぎないのではかない。長くは続かない。

3つ目はその結果、人間は常に快楽の夢を求めて生きるが、それが得られるのは本の短い時間だけで、満足することはない。これが仏教でいう「苦」。そして、この苦は人間の想像・錯覚に過ぎないから「空の苦悩」と呼ぶらしい。

 

甘いものや脂肪の多いものを食べて快楽を感じるのは餓えのリスクがあった狩猟時代に生きる確率を高めるための一つの手段。

 

(他にも京大の人類学の学生が語っていて面白かったのが、見知らぬ人と仲良くなれるのは人間独自の能力。チンパンジーは80~150匹の仲間とは仲良くするが、それ以外とは敵対する。彼らは3メートル上の木の実を一人で獲得する高い能力があるが、人間にはない。だから人間は人と協力することを身に着けたという。つまり、仲良くなるのは、生きるための手段として組み込まれた能力だったという。)

 

話が随分逸れてしまった。とにかく、彼女はこういう手の本をたくさん読んでいる。仏教によると、人間は生まれた時にもう運命が決まっていて、現在はそれを生きているだけ、と言うようなことも言っていた。あがかず、受け入れろ、そして良く活きろということらしい。

 

一定程度の成功を手にし、大都会北京で日々拡大するIT産業で仕事している彼女は今や如何に心の静寂を取り戻すかを研究している。それだけ、中国の成功圧力が強く、心の迷いが皆多いという事よ、と彼女自身も言っていた。

 

知的で好奇心もあり、海外の情報も得ている彼女は120%ノンポリ。これからは皆の悩み、育児、愛情、職場サバイバル術などのコンテンツをオーディブルで第3,4都市(中小都市)市場向けに開発していくらしい。

 

日本以上に?旺盛な知的好奇心が市場をどんどん動かす元気な社会がありながら、ポリはゼロというこの非対称性が不思議だ。

 

これ、本日の北京なり。

 

 

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中国語のタイトルは『当下的力量』米の原書は2001年のものだが、中国では2013年出版。これも類似のマインドフルネスの本。