いつも通るバス停前の一角にある奥に入り込んだ庭のような空間に果物屋さん、八百屋さん、肉やさん、甘栗やひまわりの種などを売っている小さなマーケットがあって、結構、私も使っていたのだが、今日、前を通ったら綺麗さっぱり全てが消えていた。まるで夢みたいだった。
2017年から始まった北京の外省人一掃、首都機能以外淘汰(淘汰というのは聞こえがいいが、つまり潰して追い出すこと)の嵐が最近また吹き始めている。そこは、もう生き残ったように見えていたのに、ここに来て潰されたらしい。
鶴の一声で出ていけ、のお上の声で終わり。
抵抗すれば牢屋行きだとみんなわかっているから黙って出ていく。
今週通りかかった時はまだ普通にやっていたはずだから、あっという間の出来事だ。
同じ通りの先の大学の門の横にあった15軒くらいの商店がひしめくビルの一階もきれいさっぱりなくなって、柵に囲まれていた。
そして、480円もする雑誌「財新」を駅前で買ってこの雑誌も政府と距離を置いているからいつなくなるかわからないな、と思いながら見ていたら、知り合いが新華社伝の人事に載っているではないか。すっかり中国のおえらいさんらしい8:2の髪の桃太郎さん風の顔で写っている。
政府系シンクタンクの学者さんだった時に会ったことがある。確か調査を依頼したような。感じの良い知識人風だったけど。彼の下だったか同じシンクタンクで研究をしていた知人も地方都市の市政府の秘書長のポストを与えられて本当は根っからの学者なのに、政治の道に入って頑張っていたが、やはりドロドロの政治の現場で疲弊したのか、元々の運命だったのか、白血病で若くしてアイビーリーグの名門phdだった将来のホープは死んでしまった。
中国の変化の早さ。突然有ったものが音もなくなくなる。そんな中でも省長まで出世している人もいるし、彼の下で同じようにやっていて運悪く病死してしまった人もいる。昨日有った馴染みの商店は突然消えて、誰も何も言わない。
これ、本日の北京なり。